ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

普遍的なもの

「できます」「やれます」という人は、とりあえず面接する。理由を聞かれたらどう答えたらいいのか困るが不採用通知を送る。話を遮ってでもアピールしてくる我の強さが、今のここのカラーではないなと思った。しかしそれ以外に、ずっと違和感があった。その…

閃き

この世界を理解できるのは 過去の記憶の蓄積のおかげ 相即に埋もれていた転機という閃きは 生と死の狭間で動いている時にやってくる あっと思いつくことがある そうだったのかと それを後でじっくり考えようと メモを取ろうとするが 手を放すことができない…

振り返ると

亡くなってから初めて一個人が気になった。それまで私は「母」しか知らない。親戚付き合いもほぼなかった我が家に、私が知る母ではない母を語ってくれる人はいない。実家を片づける時、もう使われてはいなかったが、しっかりと固定しているたくさんのケーブ…

三本の糸

今週のお題「大人になったなと感じるとき」 幼い頃、兄は毎日悪夢にうなされていた。自分の置かれている立場を意識し始めて、頼りない母と私を抱えて生きていくことのストレスを就学前からすでにもっていた。 兄がうなされているのを母と私が気づいて起こす…

共に働く人

年末に収益を上げられなかった企業は年明けからは徐々に縮小していくだろうと情報屋が言っていたように、ある企業内部では人材が大きく動いていた。私はこのチャンスをものにしようと、その企業と関わりのある同じ取引先の人をうまく仲介に立たせると、一人…

パネトーネ

二十歳の頃に美味しくて毎日食べていたなと、とあるブログで取り上げられていたので食べてみたくなった。新しい仕事を始めて、まだ慣れていない、緊張が抜けない頃、食欲もなかったのにこれだけは美味しいと飽きもしないでお昼ご飯に毎日食べていた。出張パ…

コーヒーの味

母が持ち手の付いた陶器のカップを三つ買ってきた。それまで使用してきたのはプラスチック製のカップか、陶器だと『ミクロイドS』の湯飲みだった。 カップは三つ。こげ茶でヨーロッパの街並みが細かく描かれているものと、その色違いの白バージョン、もう一…

男でも女でもない

言葉の使い方、声の出し方、会話のテンポは家族の影響が大きい。社会に出て気づく、特に人に何かを教える立場になると気になる。農家の生まれで学校に行かなかった母の言葉遣いは方言がきつかった。私の言葉遣いは考えたくないが兄にそっくりで早口。兄が乗…

便利で快適な世の中

大晦日、年が明ける前に帰宅できた。今は仕事をうまく組み立てられるようになって、また新しい時短システムの導入でめちゃくちゃな残業を強いられることはなくなったが、入社したての頃はビルのガードマンに良いお年を…ではなく明けましておめでとうと挨拶し…

信じたいこと

働き始めた高校時代から なるべく思わないようにしている 「これさえあれば安心」 「これを続けていればうまくいくはず」 衣食住を与えてくれる人 万能のような物 規則正しい習慣 これらの拠り所はつくらない 「親」も「学校」も信じない 信じられるのは ば…

お花畑へ

年末になるといろんな理由で毎年急な欠員が出る。今年も一人、持病の悪化でしばらく休むことになったメンバーが出た。毎年のことなので作業員を増やしていたため、業務に支障は出ない。私が穴埋めをどうするか考えている時、最近気づいたのだが、残っている…

冬の贈り物

クリスマスプレゼントは、義姉さんにはボタンにかぶせて使ったり、チェーンを付けてネックレスとしても使えるアクセサリーを、姪にはビジューのかわいいストッキング3組とミニオルゴール、甥にはかっこいいフードウォーマー。それと、いつもの図書カードとマ…

野良猫⑩

9月末、向かいのマンションに引っ越してきた人が猫除けのスプレーや柵代わりに段ボールで玄関をガードしているのを見て、しばらく餌やりをやめて様子を見ることにした。 遅刻しないようにいつも余裕をもって家を出るのに、けっこうぎりぎりで家を出たある日…

モテ期

昨日、たまたま付いていたテレビで『あさイチ』がやっていて、家を出るまで用事をしながら見ていた。華大の間に細身で姿勢がやや前かがみの、ぼさぼさの髪の男性ゲストがいた。誰かわからないが有名なアーティストのようだった。華大とのトークは緊張してい…

はらはらどきどき

年末という力にゆっくりと引っ張り上げられて徐々に加速していく。ジェットコースターみたいな緊張感がいよいよやってきた。 年末のわちゃわちゃの中を優雅に過ごせていた中学生までが懐かしい。あの頃はまだいわばパピーウォーカー時代で、まだ魔法のような…

先にいる人

家族三人で遊園地に行く。兄はお気に入りのキャップ、私は母が結ってくれたツインテール。母は大きな声を出して、笑って写真を撮ってくれる。家族で出かけたのは小学校低学年くらいまでだった。 生活保護を受け始めてから、母はいつも家にいた。そして「お母…

楽しみはとっておくほう

職場の同期の友人は『鬼滅の刃』の映画、無限列車編を既に四回も観に行っている。妹、友人、甥と姪を連れてと三回行き、四回目はとうとう勇気をもって一人で行ったそうな。なぜ勇気が必要だったのかはわからない。 私は映画が嫌いなわけではないが、映画を一…

ふわふわ

敷き毛布のふわふわの手触りを楽しむ季節 ふと柔らかいものをなぜ柔らかく感じるのか それが気持ちいいと思うのか そして安心するのかを少し考えてみた ふわふわを触り続けていると ふわふわが私か、私がふわふわか 自分の感覚を持って行かれるような ふわふ…

教わったもの

思い返せば、私は母から何を教わったのだろう 口下手で無口な母は説教をしない 教わったというよりも 空気のような掴むことができないものに 全身全霊で合わせること 我慢のようなものを学んでいた気がする 母は我慢ばかりしている人だったから 亡くなってか…

冬支度

押し入れから折りたたんで収納していたドームを取り出す。それがこれ これはこのようにして使う 目的はキスをされないための防漢ではない。防寒だ。五年程前から使用しているが、使用するようになってからは冬に風邪を引きにくくなった。12月に入り、人であ…

私の場所

今週のお題「急に寒いやん」 私が以前いた場所は寒いも暑いもなかった ただ、緩やかなまったりとしたリズムと 軽快なリズムに包まれていた そう、まるで波の音をバックに 南国のミュージックを聴いているよう 世界とぴったりくっついて 毎日踊っている 呼吸…

ゆっくりとした時間

直前割りを利用して(ネット回線を持って)一人旅に行く相方。最近、ジャズフェスで財布を落としたうっかり者だから、旅先で何かあるのではないかと少し心配した。財布は探しても見つからなくて、近くの警察署に行くと、なんと届けてくれた人と鉢合わせする。…

購入時に一度だけ靴底を張り替えられると聞いていたので、5年以上履きこんだ靴の補修を頼もうと、いつもの店に行く。靴は身に付ける必需品で、一番お金を使っているところだ。一日中履いていないといけない仕事用の靴や長時間歩く靴は特にお金をかける。体重…

熟し柿

10月に入るとスーパーの果物コーナーに柿が並ぶ。柿の前は葡萄や梨に夢中だったのに柿が出ると迷わず柿。5、6個入っている袋を二つは買う。柿は熟して柔らかくなったほうが好き。 母が熟し柿を買ってくるようにとよくお使いに行かされた。産地直送なのか駅か…

おじいちゃん

三年前に亡くなった四国の祖父は70歳くらいから盲目になったが93歳まで生きた。初めて会ったのは親戚の結婚式。新郎と新婦が祖父にピアノの演奏をプレゼントすると「ありがとう!」と大きな優しい声が会場に響いた。この日、結婚して日の浅い私は、初対面で…

また忘れてた

昨年に引き続き今年も思い出すことなく過ぎてしまった相方の誕生日。昨年同様、急にピザでも注文しようと言ってくる。私はたまにはいいかもね、と。すると「なぜピザを食べたがっていると思う?」と聞いてくるので、普段ない質問に胸騒ぎがして、ようやく気…

巻き爪エイド

巻き爪リフトをずっと使用していたが、新しいリフトでネイルエイドというものを見つけて、一度試してみようと購入する。7/29~10/18まで装着した感想は、良い所は取り付けが簡単というだけで、悪い所のほうが多い。スプリング形状のせいかリフト力が弱く取れ…

まだ油断できない

私は人の心が読める。この能力がバレるとどんなことに利用されるか考えただけでも恐ろしい。取るに足らない存在として決して目立たないように慎重に生きていきたいと思う。しかし私には致命的な欠点がある。空気を読まないでうっかりしゃしゃり出てしまうと…

きまぐれオレンジ☆ロード

今日、まつもと泉氏死去のニュースを見て、我が家にもたらした甘酸っぱい青春時代を思い出した。『きまぐれオレンジ☆ロード』は男子中高生のバイブルとして一世を風靡した作品である。 大人になろうと背伸びをする少女を魅力的かつ色っぽいタッチで見事に表…

ポケットティッシュカバー

昔、働いていたお店にちょくちょく買い物にくる年配の女性がいた。買い物ついでに世間話をしていく気さくな人で、仕事の領分を気にしないで冗談を言う私との会話を楽しんでくれた。 ある日、彼女はラブレターを渡すように恥ずかしそうにティッシュカバーを何…