ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

感謝

大切な出会い

お盆や年末に活躍してもらおうと育てていた大学生が、コロナに感染することを心配して退職することになった。家族が危ないので勉強に集中して、バイトなんかは辞めるようにと言ってるそうだ。来年には状況が変わっているかもしれないから、数か月休むだけで…

思いの波

言葉の波紋が広がる 思いは波のようだ 母がどんな思いで生きていたのか 私はまだ何もわかっていない 母と同じような人生を歩んでいたら 少しはわかったのだろうか 「お前らを連れて何度死のうとしたか」 と言っていた母の言葉を思い出す わかっているのは 母…

切り花

どんな状態であれ ただ生きている それがどれほどの 励みになっているか ただ生きているものから 勇気をもらっている ただ生きているものは 将来の心配もしない 今、この瞬間に 存在のすべてをかけている だから美しいのだ 誕生日に届いた花束

振り返ると

亡くなってから初めて一個人が気になった。それまで私は「母」しか知らない。親戚付き合いもほぼなかった我が家に、私が知る母ではない母を語ってくれる人はいない。実家を片づける時、もう使われてはいなかったが、しっかりと固定しているたくさんのケーブ…

おじいちゃん

三年前に亡くなった四国の祖父は70歳くらいから盲目になったが93歳まで生きた。初めて会ったのは親戚の結婚式。新郎と新婦が祖父にピアノの演奏をプレゼントすると「ありがとう!」と大きな優しい声が会場に響いた。この日、結婚して日の浅い私は、初対面で…

ポケットティッシュカバー

昔、働いていたお店にちょくちょく買い物にくる年配の女性がいた。買い物ついでに世間話をしていく気さくな人で、仕事の領分を気にしないで冗談を言う私との会話を楽しんでくれた。 ある日、彼女はラブレターを渡すように恥ずかしそうにティッシュカバーを何…

眩しい光景

2016年、お義母さんに肺がんが見つかる。冬に咳が続いて風邪にしては長引いていると思い、何気に帰省先の病院を受診する。レントゲンで肺がんの可能性を言われ、帰宅後、大きな病院での精密検査をした。今後の治療方法の説明日、彼は仕事で出席できないとい…

実家の片づけ①

その日は40年以上母が暮らした団地の実家を片づけるために朝から気合が入っていた。実家に着くと先に来ていた兄と兄の友人Yさんが既に片づけを始めている。Yさんは中学からの兄の旧友で、当時の私は兄の友人に声を掛けられると緊張してしまい、びっくりして…

ズレてるよね

生まれや育ちが少数派のせいか 自分の行動はズレている可能性が高いと 思い込んでいる そのせいで些細なことでも 報告や確認は大切 非常識なところをチェックしてもらいたい 常に裸、まな板の鯉状態 素直さよりも生産性重視の今の社会では 評価が低いので給…

『あかんたれ』

子どもは自分を保護している人の顔色を見ながら、その人の無意識の理想までも嗅ぎ取って育つ。母にはどんな理想があったのだろうか。 母は花登 筺の『あかんたれ』に興味があった。幼い私も母につられて観たことはあるが、大人が子どもをいじめているだけに…

ハーレー斉藤

プロレスはアントニオ猪木時代が家族で一番盛り上がっていた。巨人のアンドレザジャイアント、カウボーイのスタンハンセン、凶器のアブドーラザブッチャーそして対抗するのは、先陣切って場を盛り上げてくれる星野勘太郎。主役として活躍していたイメージは…

感謝の春

今週のお題「卒業」 卒業式でなぜ泣くのか今でもわからない。 同世代ということで集められた集団の中に入っただけで、 出会ったと思わなければ別れたとは思えない。 それよりも通学途中で見た風景に別れを感じた。 親になって子どもの卒業式を見て泣いたりす…

与えてくれるもの

母は名前くらいは書けるはずなのに字がきれいじゃないからか、市役所に行く時は手に包帯を巻いてケガ人のふりをしていた。役所の人も大変だっただろう。母は読み書きや計算ができないことを学校に行ってないからだと言っていた。学校で覚えるものと思ってい…

マスク不足

バレンタイン商戦が始まる。ハロウィンやクリスマスは無視している会社なのにバレンタインは特別のようだ。今年は管轄するブランドも増えて仕事も増えた。とりあえず例年通り、派遣の手配もできたし必要な備品の準備も整ったが、一つだけ不足しているものが…

優しい先生

バイト先のパン屋でスイスの自然の美しさと素朴なパンの美味しさに魅了されたあるパン職人に出会う。スイスにパン修行に行くのを夢見てドイツ語を独学で勉強していると聞き、私は気さくなドイツ語の先生がいるからわからないことがあったら教えてくれるかも…

やさしい米の甘み

お義母さんの愛媛の実家に遊びに行くと実家の家族全員が育てた貴重な新米を30キロもらう。泊まりに行くと「なんちゃ気にせんでええ」とおじいちゃんもおばあちゃんも優しくしてくれる。お米は甘みがあってみずみずしく、一人暮らしの時によく食べていた備蓄…

今があること②

二十代半ば、長く働けそうな仕事を見つけると、仕事が定着した兄と夜間中学に通う母と老犬と愛猫を残して実家を出ることにした。ごく自然にさもそれが当たり前のように出ていく。引っ越し当日、母はいつものところに座っていつものように煙草を吸っている。…

今年もバリウムで

もっと早く定期健康診断の予約を入れたかったが、初めての胃カメラを希望するかこれまでと同じバリウムにするかで悩んでいると予約を入れるのが遅くなった。会社から11月末までに受診するようにと促されて慌てて病院に電話をすると、受付の方が開口一番に胃…

秋風

まだ刈り取られていない稲が風に揺れる音がする。 からっとした涼しい風が気持ちいい。 心を満たしてくれるものは暖かさや涼しい風といった 五感の中の「触」なのかもしれない。 人間のために自然があるわけではないのに、 心を満たしてくれている。 その大…

今があること①

今週のお題「夏を振り返る」母の初盆のお線香をあげた後、兄から母が施設で作っていたというビーズアクセサリーをもらう。器用に上手に作られていた。母が手縫いで自分のエプロンを作っていたのを思い出す。編み物もしていた。料理よりも手芸が好きだったよ…

ありがとう

今日、兄のお嫁さんから快気内祝いの品が届いた。 8月上旬、子宮の腫瘍が大きくなってきたから摘出したと兄から連絡があり、仕事が終わってからすぐにお見舞いに行った。いつものほんわかした様子で兄嫁は私の相手をしてくれた。 手術は相当怖かったと思う。…

父の日を祝えること

今週のお題「おとうさん」 母子家庭で育ち、父を知らなかった私が結婚して人生初の父の日をどうするかを考えた時、なんとも言えない気分になった。お義父さんが自分の息子より11才も年上の嫁を認めてくれたこと、孫がいなくても優しくしてくれること、おいし…

この世界はやさしい

この世界はやさしさでできていると甘ったるいことを常に感じている。 母子家庭で育ち、定時制高校を出てとりあえず就職、お金を貯めて大学に入学、卒業して3年後に結婚。子どもはいないが職場で友人に恵まれ、楽しい毎日を過ごしている。感謝、感謝の毎日で…

花の記憶

先月、母が亡くなった。 「亡くなる」という表現はどうもしっくりこない。 棺の中を覗き込んでも母が死んでいるとは思えなかったが、 硬くて冷たい手に触れた時、肉体を使った電気交流ができなくなっていたからか、 何も伝わってこなかった。 そこでようやく…