ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

振り返ると

 

亡くなってから初めて一個人が気になった。それまで私は「母」しか知らない。親戚付き合いもほぼなかった我が家に、私が知る母ではない母を語ってくれる人はいない。実家を片づける時、もう使われてはいなかったが、しっかりと固定しているたくさんのケーブルフックを見て「おばちゃんのこの場所で頑張るぞって気合が伝わってくるな」と手伝いに来てくれた兄の友人の一言が、母が違う形で蘇ったように思えて新鮮だった。なぜ生きている時は、母が母であることを当然として享受していたのか、それだけあの人が子どもが子どもとしていられるようにしてくれていたということなのか、我慢強いすごい人だったと思う。

 

 

振り返るとブログの更新をやめている人が目につく。なんだかさみしい。始めたきっかけは母が亡くなり、母のいない世界で我が家を思い出せるようになったこと。たくさんあった喜怒哀楽をどこかに置いて行けたらと、また姪や甥がいつか読むかもしれないと思い、明るさよりも前向きで強い気持ちを心掛けた。それが、どういうことになるのか何も考えていない。思い出す思い出がなくなるまで続くのかどうか、先のことはわからない。ただブログは内に向けているほうが続けやすいようだ。