ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

冗談が好き

冗談を生み出すには瞬発力が必要だ。冗談は即興のセンスと思いやりの気持ちが必要で練習して出せるものではない。母も兄もよく笑う。笑わせていたのは私だ。笑いという息抜きがあったから家族がバラバラにならずにまとまっていたのだろう。 私は何が面白いの…

辞めさせない努力

睡魔と闘いながらの泊まり込みの理念勉強会が無事に終了した。積極的に話すのは昭和中期の先輩に任せて、突然当てられても応えられる準備をしながら、私は持ち込んだ仕事を黙々としていた。 普段関わることのない部門の人たちから人手不足の話を聞く。どこも…

これまで生きてて息ができないほど笑ったこと

手が離せないからハサミを早くちょうだいと隣の部屋にいる兄に頼んだら、 隣の部屋からハサミが飛んできて、私の指をかすめて畳に斜めに刺さる。 兄が「早く」ではなく「速く」という意味の冗談で投げてきたのが、 危なすぎて腹がよじれるくらい笑った。 こ…

仏壇の中から

団地ではとある宗教団体の座談会が定期的にあり、幼い頃は家族三人で参加していた。私はおやつ目当てによくついて行く。母は仏壇に手を合わせて熱心に念仏を唱えている時期があった。私も真似をして念仏を唱える。 仏壇は団体から買ったのか借りているのかよ…

我が家の猫たち

『愛してナイト』のジュリアーノそっくりな野良猫を拾うが、母に気に入ってもらえずその日のうちに野に放たれる。 ラグビーの部室に住みついていた病気の野良猫を兄が持ち帰り、『空色みーな』の主人公と同じ名前でミーナと名付けて飼うが、成猫の野良を拾う…

思い出すことがなかったダンナの誕生日

最近外に食べに行こうと、ピザでも取ろうとやたら言ってくるなと思っていたら、昨日はケーキ買ってくるとか言い出したのでそこでようやくダンナの誕生日がとっくに過ぎていることに気がつく。すっかり忘れていた。手帳には基本、仕事のことしか書かないが来…

安心感

交差点の角にあるブロックの植え込みに座って、歩いている人や走っている人をぼんやりと眺めている人がいる。緩やかな時の流れの中で生きているようだ。 いつも同じ時間に大声でぶつぶつ言いながら歩いている人がいる。聞こえてくるのは怒りの声か、誰かを罵…

優しい先生

バイト先のパン屋でスイスの自然の美しさと素朴なパンの美味しさに魅了されたあるパン職人に出会う。スイスにパン修行に行くのを夢見てドイツ語を独学で勉強していると聞き、私は気さくなドイツ語の先生がいるからわからないことがあったら教えてくれるかも…

秋、そして年末

今週のお題「秋の空気」肌寒くなってくると今年もいよいよ残りわずかであること、そして年末の繁忙期がやってくることを考えてぞっとしている。12月だけで2か月分の売り上げが取れるため、そのための人材の準備をしておかないと私の身が危ない。昭和中期の先…

生み出す力

生み出されてすぐは周囲の分析に忙しくて何かを生み出す余裕がなかったが、周囲を分析して落ち着ける場所を見つけると何かを生み出したくなる。ここでいう生むというのは創造することだ。それは五感を使って様々な方法で創造される。生み出すというのは創造…

昭和中期のノリ

理念勉強会の事前課題をなんとか出し終えた。内容はあまり立派なことを張り切って書くとコンサルタントの人に急に当てられて体験発表をさせられたことがあるのでさらっと当たり障りのないことを書いておいた。 職場には昭和中期の年配社員が多く、一年に一度…

脳トレ

何気に時間つぶしにゲームをするとどっぷりはまることがある。ネットのパズルゲームに夢中になったことがある。都道府県別で上位に入ると次は全国の週間ランキングで上位を狙いたくなる。途中で時間の無駄に気づいてやめるが、後には興奮した快感だけが残る…

魔法のテレカ

我が家には電話が無かったため小銭を握りしめて集合団地の真ん中にぽつんとある電話ボックスを利用していた。黒い電話がかっこよくて羨ましく、初めて覚えた友人の家の電話番号は今でも記憶に残っている。 電話機が設置されたのは中学に入ってからで、黒電話…

美味しい旅

昔、一緒に読書会に参加していた友人が本を送ってきた。 読書会の場所を提供してくれたメンバーが本を出したという。 食べたい!―味覚の言語表現への挑戦― 作者: 秦六三郎 出版社/メーカー: 幻冬舎メディアコンサルティング 発売日: 2019/01/09 メディア: Ki…

野良猫④

台風で大気が不安定のため空が赤い。何かが起きるような不安な気持ちよりも鮮やかな夕焼けに見とれる。平成3年の台風19号の時は日が落ちきっていなかったからかもっと怖いくらいに赤く、雲の影も黒くはっきりしていたのを思い出す。 雨風が落ち着いてから野…

やさしい米の甘み

お義母さんの愛媛の実家に遊びに行くと実家の家族全員が育てた貴重な新米を30キロもらう。泊まりに行くと「なんちゃ気にせんでええ」とおじいちゃんもおばあちゃんも優しくしてくれる。お米は甘みがあってみずみずしく、一人暮らしの時によく食べていた備蓄…

眼鏡

初めての仕事は高校に行きながら勤務できるところで、中学校が紹介してくれた製作所だった。その頃はまだ学生気分が抜けずに遅刻を繰り返していたため、とうとう居づらくなり辞めてしまう。私は世間知らずにもほどがあるくらい無知だった。看護師募集の広告…

豊かな暮らし

ラングドシャをもらう。 紙袋から取っ手の付いた箱を出す。 箱を開けてプチプチに包まれたビニール袋を出す。 プチプチを外してビニール袋を開ける。 ビニール袋の中から小さなビニール袋を出す。 小さなビニール袋からラングドシャを出す。 スイートポテト…

今があること②

二十代半ば、長く働けそうな仕事を見つけると、仕事が定着した兄と夜間中学に通う母と老犬と愛猫を残して実家を出ることにした。ごく自然にさもそれが当たり前のように出ていく。引っ越し当日、母はいつものところに座っていつものように煙草を吸っている。…

理念勉強会

泊りがけの理念勉強会がもうすぐある。 社長語録から出題されている課題を早く提出しないといけないのだが、理念勉強会に有益が感じられないためなかなか進まない。 昨年の勉強会では部長をチェンジするにはどうしたらいいかを同じテーブルにいた経営コンサ…

寂しさから

働き始めると少しは自由に使えるお金ができる。 友人と遊びに行く準備をしていたら、いつの間にか母に財布からお金を抜き取られていることがあった。遊びに行った現地で財布に五千円しか入っていないことに気づいて慌てる。母が取った金額は七千円で返してく…

冷ややっこ

我が家のおかずは常に一品だ。 母の買い物にはよくついて行った。母は複雑な料理をあまりしないから買い物も簡単だ。豆腐屋に行くと木綿豆腐を三丁買ってそれで買い物は終わる。 沈んでいる豆腐をふわりとすくい上げて水の中で手のひらに乗せると、包丁の刃…