ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

大学生

木村先生

お盆の連勤中、相方から木村敏の訃報を聞く。知りたくなかった。私にとって木村敏は人生を最も充実させるきっかけをくれた人。 初めて会ったのは『ゲシュタルトクライス』の原書講読の授業だった。客員教授の木村先生の教室には15人位の受講生がいた。主に院…

はむべーこんうぃんなー

百貨店の受付でATMの場所を聞く。エレベーターガールのような独特の口調のせいか、二度聞いても何を言っているのか理解できなかった。笑顔で丁寧に応えようとしているが、場所の説明に慣れ過ぎているということもあってか、伝えたいという気持ちよりも先に言…

優しい先生

バイト先のパン屋でスイスの自然の美しさと素朴なパンの美味しさに魅了されたあるパン職人に出会う。スイスにパン修行に行くのを夢見てドイツ語を独学で勉強していると聞き、私は気さくなドイツ語の先生がいるからわからないことがあったら教えてくれるかも…

美味しい旅

昔、一緒に読書会に参加していた友人が本を送ってきた。 読書会の場所を提供してくれたメンバーが本を出したという。 食べたい!―味覚の言語表現への挑戦― 作者: 秦六三郎 出版社/メーカー: 幻冬舎メディアコンサルティング 発売日: 2019/01/09 メディア: Ki…

熱い満天の星

今週のお題「空の写真」1、2回生が集まり自己紹介をし合う交流会の場で、長野から来ている人が、長野は空気が澄んでいてたくさんの星が見えると熱く語っていた。何も考えていなかった私は「じゃあUFOも見たことあるの?」と、とんちんかんなことを聞いて…

曼殊沙華⑤

長屋の片づけがひと段落すると次は共同生活をしていた借家にある彼女の荷物を母親だけが残って片づけることになった。彼女の実家は遠いため父親と弟は先に帰ったのだ。ポチさんから電話があり、一度だけ借家に様子を見に行くことにした。どうも母親と二人き…

曼殊沙華④

火葬の後、彼女が新しく借りていた部屋の片づけを手伝いに行くことにした。そこはしっかりした造りの長屋で、広いリビングダイニングには縁側もついている。他には大きなベッドのある寝室があった。部屋の中で起きた事故ではあったが、台所の壁や床が少し焼…

曼殊沙華③

私が3回生になる頃、院生二人の共依存関係に変化が起きる。長く暮らしていた借家はそのままにして、女性がもう一つ部屋を借りて生活の拠点をそこに移したのだ。仲が悪くなったというわけではない。依然として連絡は取り合っていたようだ。その頃、私はバイ…

曼殊沙華②

サークルで知り合った院生の二人も知っている人で、トランスジェンダーの人とも関わることがあった。私はトランスジェンダーに興味はないが、50代にしてはドラえもんのように愛くるしい独自のキャラクターを固めているのが気になった。この人は出会って初対…

曼殊沙華①

大学で知り合った人たちの中でSMを研究している院生がいた。私はSMには興味はないが、サークルで初めて会った時から何か通じるものがあり、家に遊びに行ったり来てもらったり、一緒にイベントに参加したりして交流を深めていった。ごく普通の可愛らしい女性…