ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

おじいちゃん

 

三年前に亡くなった四国の祖父は70歳くらいから盲目になったが93歳まで生きた。初めて会ったのは親戚の結婚式。新郎と新婦が祖父にピアノの演奏をプレゼントすると「ありがとう!」と大きな優しい声が会場に響いた。この日、結婚して日の浅い私は、初対面でいろんな人を紹介してもらう。親戚付き合いがほぼなかった我が家とは違い、後日寝込むほど緊張する。

 

早くから両親と他界した祖父は、兄妹を守るために進学しないで仕事に就いたと、それまでは地元で噂される程の秀才だったとか、それから自ら企業を起こして、田畑と家族を守ったと祖母が教えてくれる。立派な家が建つまでには苦労があったと言う。農作業の合間に近所の子ども達をリヤカーに乗せて遊んであげる優しい人だと、祖父の話をする祖母を見ているとぞっこん惚れているのはわかった。

 

祖父は随分前に私が送ったとっくに賞味期限が切れているはずの菓子を冷凍していた。私が来た時に冷凍庫から取り出すと、まだ解凍不十分の硬いはずのものを「このお菓子、おいしいなぁ!」と言って食べるのを見て体が熱くなった。そら惚れるわ。

 

何度も四国には遊びに行くが、祖父は私を絶世の美女だと思っているらしい。

はい、まあ、そうですね。

 

 

否定はしません。