ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

ハーレー斉藤

プロレスはアントニオ猪木時代が家族で一番盛り上がっていた。巨人のアンドレジャイアント、カウボーイのスタンハンセン、凶器のアブドーラザブッチャーそして対抗するのは、先陣切って場を盛り上げてくれる星野勘太郎。主役として活躍していたイメージはないが、小柄でも怯むことなく戦う姿が印象に残る。しかし私は母と兄に比べて大ケガをする危険な格闘技を見るのが本当は怖かった。

 

子どもの頃のプロレスブームが去り、高校を卒業した頃だったか、深夜に放送されていた女子プロレスをたまたま観て、大胆な技と華やかさに目を奪われる。その時、大きな外国人を相手に一歩も引かずに戦っていたのは、ハーレー斉藤といい、ウルトラマンのような色味の繋ぎのコスチュームの可愛さや色気の無さがかっこよくて新鮮だった。それからレンタルビデオで彼女を探しては手あたり次第に借りる。気になる試合はダビングして今でも持っているが、残念ながらビデオデッキがなくなって見ることはできない。彼女の時代は、北斗晶神取忍が頂点を争っている時代で、彼女も頂点を極められる力があったと私は思う。キャラクター設定があったのか、私にとってハーレー斉藤は正々堂々とした戦い方をする人で正義のヒーローに見えた。

 

ふと思い出して、今はコーチでもしているのか、お店でもやっているのかと気になって検索してみると、2016年に病気で亡くなったと追悼の記事が出てきた。亡くなった時の彼女の年齢と私はほぼ同い年。私もそろそろ覚悟しないといけないのか。

 

生きることは死ぬことと同じくらい実体のない不確かなものだ。私は自分が人類初の最初に死ぬ人間でないことをほっとしている。生きている人に励まされるのと同じくらいに亡くなった人からも励まされている。知っている人が先に旅立って、どこかでまた活躍しているような気がしてならない。