ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

『あかんたれ』

子どもは自分を保護している人の顔色を見ながら、その人の無意識の理想までも嗅ぎ取って育つ。母にはどんな理想があったのだろうか。

 

母は花登 筺の『あかんたれ』に興味があった。幼い私も母につられて観たことはあるが、大人が子どもをいじめているだけにしか見えない。いじめられている理由を母に聞いても「お前もいつか女中にいくことになるかもな」と言われて、不安になった。

 

高校生の時『あかんたれ』の再放送を知る。あのいじめられていた子どもが気になって観ていると、子役の演技力と人間臭い登場人物の多さにみるみる話に引き込まれていく。最終回を撮ったビデオテープはまだ持っている。

 

母は丁稚奉公は学校に行くよりも大切なことが学べると思っていたからか、子どもが一人でも楽しく生きられるように育てたかったのか、子どもに強い愛着を表さないようにしている人だった。おかげで母の理想像というものに縛られることもなく、また見放されていると思ったこともない。年齢を重ねるごとにそのありがたさを感じている。