ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

 

購入時に一度だけ靴底を張り替えられると聞いていたので、5年以上履きこんだ靴の補修を頼もうと、いつもの店に行く。靴は身に付ける必需品で、一番お金を使っているところだ。一日中履いていないといけない仕事用の靴や長時間歩く靴は特にお金をかける。体重のかけ方や歩き方を測定して自分の癖にあった中敷きを作ってもらうのだ。

 

さて持ち込んだ靴を店員に渡す。店員の表情を見てなんとなくわかった。廃盤となった靴だからパーツが手に入らないと言われる。限界に近いところまで履いている間に張り替えるタイミングを逃していた。廃盤になるなら次に選ぶ靴は張り替え機能が付いていないものでいい。仕事では駆け足、急ブレーキ、しゃがんでの隠密と突発的な動きが多いので、それに合ったフォーマルシューズを探す。踵が細いから安定するストラップタイプで、いくつか履き比べた。

 

店員「履き心地はいかがですか?」

私 「靴って感じですね」

店員「………???」

私 「前の靴は履きすぎて、もう履いてないみたいなもんでしたから」

店員「……」

 

翌日は新しい靴でさっそく仕事をした。今まで履いてきた靴はもしも痛くなったら履き替えるつもりでお守りのようにロッカーに保管している。もうひと月以上経つが特に問題はない。馴染んできてだんだん歩くのが楽しくなってきている。スムーズに行きたいところに行けるって、凄いことだなと思う。仕事用の理想の靴は見た目がフォーマルで機能は地下足袋。もっと理想は裸足。だから履きなれた靴が実は一番だったのだ。しかし皮の部分が薄くなって破れかけて見た目がよくない。今回の靴はもっと長く使えるように定期的にクリームやスプレーを使い、手入れを怠らないようにしたい。

 

昔は外国のアニメで木靴を履いている子どもに憧れていた。今は靴擦れが気になる。日本にも下駄という木靴はあったが、共通して言えることは足音が心地いいということ。音は木が一番良い。隠密には向いてないが。