ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

先にいる人

 

家族三人で遊園地に行く。兄はお気に入りのキャップ、私は母が結ってくれたツインテール。母は大きな声を出して、笑って写真を撮ってくれる。家族で出かけたのは小学校低学年くらいまでだった。

 

生活保護を受け始めてから、母はいつも家にいた。そして「お母さんなんてなんにも楽しくない」とよく言うようになる。その言葉を聞くと、どうしたらいいのか困惑した。私の大きな課題のような気がした。母はときどきプール付きの大きな家に住みたいと、チラシの裏なんかに間取りを書いては夢を語る。家族三人で暮らせている今が一番楽しいと思っている私には、母の夢がよくわからなかった。

 

還暦を過ぎてからの母は、学校に通い、好きな勉強をして楽しそうだった。先にいる人が楽しそうでないと、後の人は不安になるものだ。

 

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