冬は丸くなる
母が押し入れから布団を出して敷く。
二枚の敷布団を横向きに使い、その上に母を真ん中に川の字になって寝る。
夏は朝起きると敷布団と敷布団の間に隙間ができてお尻がはまっていることがある。
冬は敷布団の上に毛布を被せる。
毛布の端はめくれないように布団の下にきれいに入れ込む。
母がこたつを片づけて寝床を用意している間、
兄は水色で私はピンク色の自分たちのタオルケットを隙間から冷気が入らないように、
まるで大福の皮のように全身を包むと小さくうつぶせで丸まっていた。
部屋の中は息の白さがはっきりとわかるほど寒い。
「もういい?」と母を急かせるように何度も聞く。
パジャマだけでは寒くてじっとしていられなかった。
二段ベッドを買うまで、
母が毎日寝床とこたつの準備をする大変な作業をしている間、
兄と私は丸くなる。