教えること
仕事を教えることは仕事を覚えるよりも難しい。長く働いている人でも仕事を教えるところまではいかない。役割を決めて動くことはできる。自分さえうまく動いていたら良いという人は多い。仕事を教えるにはどうやら何か違う能力が必要のようだ。
仕事は業務を遂行するためだけにあるのではない。確かに経営理念や経営方針では立派なことが掲げられているが、そんなもので目の前の問題がすぐに解決することはない。それよりも共に働く人の生活や健康を考えた生身の人間同士のもつ「生」に密着した不安に共感しつつ、仕事を覚えてもらうことが大切ではないだろうか。
業務遂行のために動くだけの存在にされると人は孤独を感じる。ケガをしている人、妊娠中の人、介護をしている人、完璧な身だしなみから垣間見えるその人の生活臭に私は安心感をもつ。
年のせいか、ダジャレ、ジョークが邪魔をして肝心の業務内容を説明するのに口頭では時間がかかる。そのため、その日説明した業務内容をまとめたメモを新人が退勤する前に渡して、やってほしいことを文章や絵でも伝えるようにしている。
冗談は新人の緊張感を取り除くには有効だが、ほどほどにしないと帰宅後タオルケットに包まりたくなる。