ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

白菜の味噌汁

我が家のおかずは常に一品だ。

 

お吸い物のように透き通った味噌汁のみの時は具材の味一つ一つがはっきりとわかった。私は具材よりも汁が好きで最後はご飯にかけて食べていた。

 

初めて友人宅の夕飯を見ることがあった。隣の団地で祖父母と一緒に住む友人はおもちゃをたくさん持っていて、そのおもちゃを借りてその日は着せ替え人形の遊びに夢中になっていた。

 

いつの間にか夜になり、夕食を一緒にどうかと誘われる。食卓にはびっちりとお皿が並べられ、味噌汁もあった。それ以外はよくわからない料理だったがおいしそうで、何かのパーティーかと思った。

 

家族と一緒でない夕飯は初めてでまごまごしていたが、友人の家族全員が優しくご飯をすすめてくれて、とうとう味噌汁をひとすすりした時だった。

 

母が私を迎えに来た。

 

友人の家族が母を説得するが、母はすぐにでも私を連れて帰るといい、私は家に帰ることになった。あの時の味噌汁の味の濃さと使われていた白菜は我が家にはなかった。とにかくめちゃくちゃおいしくて今でも味噌汁には白菜だと思っている。