ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

しつけ

母のしつけは行き過ぎる時があった。まだ小学校低学年だったか、着物に使う腰ひもを使って兄の手足を縛ると押し入れに閉じ込めたことがある。どんな悪いことをしたのかわからなかったが、傍にいた私は兄がかわいそうだからやめてほしいと訴えたが母の怒りは収まらない。私は暗い押し入れに閉じ込められている兄を思うと居ても立ってもいられなかった。長く閉じ込められていたから紐が解かれる時、兄の手足は紫色になっていた。私も一度だけ母をひどく怒らせてしまい、冬にパンツ一丁で外に放り出されたことがある。情けで赤い毛糸のパンツだけは履かせてくれていた。家に入れてほしいと泣いていたのを思い出す。

 

今思えば幼い子どもには厳し過ぎる仕置きだ。母は口下手だから怒りが爆発すると体罰に及ぶ。相談する相手も傍にいない状態で子どもを育てる心労から本来は優しい性格の母も時には鬼のようになった。しかし、それでも母を恨むことなく子どもは自ら考えて育っていく。そういうものだとつくづく思う。