ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

道徳は他人から

  

他部署での新人いびりの話を聞く。そこでは先輩社員のきつい一言で傷ついて、せっかく入ってくれた人がすぐに辞めてしまうということを繰り返しているという。管理本部では、人の流出を防ぐために退職する本当の理由をもっと親身になって聞き出すと数年前に年度目標で掲げていた。私は今さら何を言ってるんだと思っていたが、やはり結局何もしていないようだ。

 

私のいる所は新人に対して「あの子は頑固だから」と言ってるのを聞いたことがあるくらいで、一緒に働くメンバーが嫌で辞めるとかは、まだない。たぶん。もしかしたら私が誰よりも頑固だから、私に負けないようにメンバーが一つにまとまっているのかもしれないけれど。

 

昔、「もっと褒めてほしい」と言われたことがある。かなり年配の人で、意を決して話してくれたようだった。言葉に力を入れているからか、ゆっくりと手を上下に動かす身振りもついていて、私は長く使い込まれた指の関節を見ていた。

 

この人は常に笑顔で、忙しくてピリピリした職場を明るく和ませてくれる人。しかし、私はその感謝を口にしたことはなかった。褒めることが優先される大切なことだとは思っていなかったからだ。それからは、良いことは口に出すように心がけた。

 

我が家では筋道を立てて注意をされた記憶がない。というか何か道徳的なことを学んだ記憶がない。社会に出てから他人に教えてもらうことが多かった。高校時代に働いていた当時40才位だったパートのおばちゃんからは結婚祝いまでいただいて、かなりの高齢となった今でも、まだ繋がりがある。学校では学べなかった大切なことを教えてくれた人との縁は切れないものだ。身内では近すぎて悪い所がわかりにくかったり、受け入れにくいことを他人から教えてもらう。私にはあちこちの勤め先で親となってくれた人がたくさんいて、非常に恵まれていた。

 

だから新人に厳しい他部署の話は残念な気持ちになる。