ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

何でも好きなのとって

 

チョコ、チーズ、タルト、クレープ、ムース等いろんな種類のケーキが箱いっぱいに入っていた。出張のおみやげか差し入れだったか忘れたが、一気に女子社員のテンションは上がった。私はその時、新人だった。先輩が「新人が先に好きなのとっていいよ」と言うので、私はクリームがたっぷりのショートケーキを選ぶ。すると一瞬、変な空気になったような気がした。後で別の先輩から「好きなのどうぞ」と皆のいる前で言われたら一番人気がなさそうなものを選ばないといけないと注意される。

 

当時、二十代前半だった私は、そんな建前があったことに気づかないで本当に食べたい物を選んだ。思えば個性的な人たちが多い職場だったのかもしれないが、それほど食べ物にこだわりがあるほうではないので、その後、選べる差し入れがあると一番素朴なものを選ぶようにした。

 

今、私は建前がうまく使いこなせているわけではないが、役職が与えられた時から少なからず建前を意識するようにはなった。

 

本音だけだと特攻野郎だと思われて近づきにくいが、建前だけだと表面的な付き合い止まりになる可能性が高い。つまり、うまく本音が見え隠れしているほうが親しい人ができやすいということ。もしこんなことを子どもの頃から気づいて実践している子がいたらどんな大人になるのだろう。