ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

リコ

チコが死んでから間もなく母がまた交配目的で血統書付きのシェルティを飼い始めた。名前は「リコ」。リコは子を産むが、当時飼っていた猫にほとんど殺されてしまい、気づいた時には一匹だけ生き残っている状態だった。売られる予定だったため名前は付けずに「ベビー」と呼び、隔離して世話をすることにした。数日後、母はベビーを売りに行く。リコの出産はこの時一度だけだった。 

 

リコの存在は、まだ小学生だった兄や私に大きな影響を与えた。「命」の大切さがわかっていない家族を温かく見守り、家族全員に優しかった。おとなしくてかしこく、話し相手としていつも母の傍にいる。私たち家族が外に答えを求めることなく、楽しい生活ができていたのはリコのおかげだった。リコは子宮の病気で手術を経験するが、私が小学校高学年から28歳頃まで長生きした。

 

リコの病気は避妊をしないと発症する確率が高い子宮の病気で、定期検診に行く考えもなかった飼い主の不注意で起きた病気である。私はリコのためならお給料を全部使ってもよかった。大人になった兄と私がリコの治療費を負担した。

 

私は一人暮らしをしていたためリコの最後に立ち会えなかったが、リコは立派な葬儀をしてもらい、位牌は今年亡くなった母の棺の中に入れた。家族の成長はリコなくしては語れない。我が家にはもったいない、なんとも言えない存在だった。