ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

引っかかり

 

昔、病気で体調が悪いことを理由に夜中に電話をかけてきては、お茶を買ってきてほしい、玉ねぎのサラダを作ってほしいと頼んでくる人がいた。寝ようとした矢先にだ。けっこう振り回されたのを思い出す。それほど親しいわけでもないのに私しか頼れる人がいないと言ってお願いしてくる。

 

 

仕方なく一つ願いを叶えてしまう。すると要求はどんどんエスカレートしていった。私はとうとういい加減にしろと真剣に苦情をうったえる。その後、切手の無い手紙がポストに入っていた。その手紙には喜んでやってくれていると思っていたと、思い違いをしていたことへのお詫びが書かれていた。しばらくすると、私は何も知らせないで引っ越しをする。

 

 

今は数年に一度、懐かしくて近くを訪れた時にこっそりと生存確認のために部屋の前まで行ってみることはあるが、見つかるとまた世話を焼いてしまうかもしれないと思い、足早にその場を去る。やはり危険だ。

 

 

しかしいつまでも心に引っかかる人だ。