無題
出会って気に入って、まだ言葉も交わしていないのにその人との老後まで想像する友人がいる。イエスとノーで成立するような会話が基本で、会うと私が好きなことを喋り続けるだけだ。喉が痛い。本が好きで自ら小説を書いているという。彼女には内に秘めたもの凄いエネルギーがある。大学で出会った時、小学校から書いている八年分の恨みノートが押し入れに溜まっているとか、早く神社でお焚き上げしてもらうようにすすめるが、まだまだエネルギーを温存しているようだ。
彼女はゴキブリが撫でられる。『どろろ』に出てくるゴキカブリができそうだ。彼女とは数年会わなかったとしても、付き合っていくのだろう。
「無題」と入力されたメールの件名、彼女からだ。