ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

1キロの唐揚げ

中学校時代、さりげなく付き合っていた同級生がいる。彼女は両親と年が少し離れた弟とかなり離れた双子の弟の六人家族で暮らしている。家事を手伝いながら弟の面倒もしっかりみるお姉さんだ。ひょうきん者の私と違い、姉御気質の真面目な人。ブラウスの上のボタンを外し、ぺったんこのカバンやかかとを踏んだ上履きで学校では少し目立っていた。

 

 

彼女は進学しないで働くことを選ぶ。双子の弟の一人が気胸を再発して大変だと明け方まで6時間位長電話したこともある。最後に会ったのは二十歳頃だったか、彼女はパブで働いていた。家族から独立して共に暮らすパートナーと犬がいる。私は彼女が苦労している気の毒な人と思ったことはないが、難しい現実に対する主体性を早くから求められた人という認識はあった。その後、お互いに転々と引っ越しをしたため、連絡先が分からなくなってしまい現在に至る。

 

 

学校の帰り道、彼女は総菜を買って帰るというので私もそれに付き合う。空きっ腹に1キロの唐揚げが入った袋から漏れ出る匂いは、刺激が強すぎて今も忘れられない。

 

 

 

今週のお題「会いたい人」