ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

台風割引

昨年の台風21号の時は仕事も休みで、私は雨戸の隙間から風に揺れる稲を見ていた。徐々に風が強まり田んぼの向こう側にある駐車場の車のカバーがめくりあがり、屋根に吹きつける雨が霧状に舞い上がり出すと怖くなって完全に雨戸を閉めた。それからは笛のような風の音を聞いていた。

 

その時ちょうど友人は、ホテルの宿泊や食事が台風で特別価格の格安になったため、贅沢なひと時を過ごそうと自宅からそう遠くない高級ホテルに宿泊の予約をして、チェックインするためにホテルに向かっていたという。しかし駅から近い所にあるホテルなのに、あまりの暴風で横断歩道を渡ることすらできず、それどころか眼鏡まで風で飛ばされて無くしてしまったそうだ。結局ホテルはキャンセルして、踏んだり蹴ったりだったことを話していたが、とにかく台風をなめていたことを反省していた。

 

私も平成3年の台風19号では危ないことをしていた。カッパを着てベランダに出ると、わざと雨風に当たり遊んでいたのだ。駅前広場の大きな気が倒れるほどの台風だったのに。今でも台風に危機感が十分にあるわけではないが、若い頃に比べたら慎重になったと思う。ただ雨音や風音がきつくなればなるほど興味が出てきて雨戸を開けたくなる。好奇心はなくならない。