ingakouryuu’s blog

心象スケッチ

夏休みの宿題

夏休みの宿題はいつもぎりぎりまで手つかずだった。あと3日しかないというところまできて徹夜をして仕上げるのがお決まりだった。部屋の隅には終業式の時のままのランドセルが転がっている。この時期、台風が逸れるたびに残念がった。

 

 

私には頼みの綱がいた。兄である。兄と私は年子で、兄は勉強が好きではないが、考える力が非常に強く小学校高学年にもなれば、家の一切の書類関係をすべて把握して管理していた。読み書きができない母の代役をこなして、能天気な妹とは違い、一家の未来と自分の役割を早くから考え、一人で背負っている。そんな兄に宿題の最難関算数のドリルをやってもらう。徹夜で付き合ってくれる兄に毎回感謝していた。

 

 

宿題を提出すると途中から字が変わっているため、先生に「お兄ちゃんにやってもらったな」と見抜かれる。学校では妹に対して無視を決め込む兄だが、家では宿題を助けてくれるツンデレだった。