産湯海岸

今週のお題「海の楽しみ」臨海学校で和歌山の産湯海岸に行った。家族旅行の経験もほとんどなかったため、テンションが高く、興奮した小動物のような状態だった。食事も解凍しきれていないマグロに文句を言う生徒がいる中、家で毎日一品料理を食べている私は、たくさんの皿に盛られた料理に目を輝かせた。大人になった今でも波の音を聞いて寝られる最高の宿だった「ラドン温泉民宿橋本荘」の名前はすぐに出てくる。

臨海学校で恥ずかしい思い出は一つくらいで、それはパジャマの膝に大きな穴が開いていたことだ。着替えると早々とふとんに入って、トイレもタイミングを見て行くことにしていた。

貧乏はさておき、とにかく海水浴では海の匂いや波の音、塩味、地平線の色、温度、波との一体感を楽しんだ。足がつかない場所で先生が「みんな砂の中にいる貝を拾ってくるぐらい潜ってみよう！」と言ったので、私は砂のあるところまで潜って闇雲に砂を触り、硬いものが触れた瞬間、それを握りしめて浮上すると「はい、貝だよ」と先生に渡す。黒くて小さいしじみ貝だった。先生も私も本当にびっくりした。

こんな話をしていたら産湯海岸に行きたくなってきた。海は私を覚えているだろうか。