新しい記憶が海馬に古い記憶は大脳皮質にというのではなく、
また脳の中の神経細胞の特徴が知りたいわけでもない。
なぜ記憶することになっているのかということだ。
メロディーも文章も電気信号だ。
肉体を持つ間は電気を感じる側にあるが、肉体がなくなれば電気そのものになる。
記憶の信号がこの世界にいつまでも灯り続けている。
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(『春と修羅』より引用)
風景やみんなといつしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(『春と修羅』より引用)